ピッチャーの分業制が当たり前になったプロ野球

最終更新日 2023年6月14日

プロ野球の華であるピッチャー

国民的な娯楽として親しまれてきたプロ野球には、様々なポジションがあります。
その中でも一番目立ち花形と言えるのは、ピッチャーです。

野球はピッチャーがボールを投げることによって始まるスポーツなので、試合の中心とも言えます。
しかしピッチャーと一口に言っても、役割は様々です。

昔のプロ野球では、先発して最後まで投げきるのが当たり前でした。
しかも現在のように1週間に1回登板するのではなく、1日おきに登板するのは当たり前です。

ある選手は毎日のように先発し、驚異的な成績を収めてきました。
ですが現在は分業制が当たり前となっており、6人制のローテーションが日本では主流です。

一人の選手は中6日開けて投げるのが一般的で、中4日ですら酷使と言われているほどゆとりを持つようになりました。
また分業制が当たり前になったことで、先発は100球をめどに6回や7回を投げれば役割を果たしたと言われます。

クオリティスタートについて

アメリカではクオリティスタートと呼ばれる指標があり、6回3失点に抑えれば合格点とされています。
日本でも近年はクオリティスタートを取り入れる球団やメディアは増え、近い将来は国内でも6回3失点が先発の合格ラインになるかもしれません。

しかしアメリカは日本とは違い、先発は中4日でローテーションするのが一般的です。
一部には日本のように6人制のローテーションを提案するメディアもありますが、多くの球団はこれまでのように5人で先発を回しています。

そのためクオリティスタートの6回3失点でも、合格ラインと考えられるのでしょう。
ですが日本の場合は基本的に1週間に1回しか登板しないのに、6回では物足りないとといった意見も少なくありません。

先発が多く投げないと、その分後を投げるリリーフや抑えに負担がかかります。
その結果先発はゆとりを持って投げられますが、リリーフや抑えは酷使され怪我をする原因です。

事実リリーフや抑えを務めてきたピッチャーは、先発をしている選手よりプロとして活躍できる期間が短いと言われているほどです。
酷使され負担を押しつけられながら、リリーフや抑えは先発に比べると目立ちません。

地味な存在の中継ぎやリリーフの重要性

近年は抑えも重要な選手としてされ注目されますが、それでもあまり取り上げられない地味な存在です。
特に勝ち試合にも負け試合にも敗戦処理として投げ続ける投手は、プロ野球ファンの間でも名前を覚えられません。

中継ぎやリリーフが地味な存在になりがちなのは、これまで成績を表す明確な記録がなかったからでしょう。
先発なら勝利数、抑えならセーブ数が記録として残りタイトルも創設されています。

しかし中継ぎやリリーフは古くから勝利やセーブといったわかりやすい記録がなく、タイトルもありませんでした。
ですが数年前から中継ぎやリリーフの指標として、ホールドが作られました。

様々な条件を満たした先発や抑えでないピッチャーなら記録され、年間で最多ホールドを記録した選手は表彰されます。
これまで日本では地味な存在だった中継ぎやリリーフ陣に、光を当てる画期的な指標と言えるでしょう。

ホールドが指標として正式に認められたことから、日本でも徐々に中継ぎやリリーフの地位も向上しています。
昔は酷使され投げ続けても、年俸が先発や野手より上がりにくいとされてきました。

しかしホールドというわかりやすい指標が規定されたこと、さらには分業制で先発から抑えに繋ぐまでの役割が重視された結果、今では昔に比べれば年俸も上がりやすくなったとされます。

まだまだファンにとっても地味な存在ですが、縁の下の力持ちとしてこれからも重要になるでしょう。

現在は高校野球ですらピッチャーは分業制

このように日本では中日ドラゴンズの山本昌投手のように先発完投が当たり前だった常識が、今では分業制が浸透し覆されるようにありました。
この流れは最高峰のプロ野球だけではなく、高校野球の世界でも広がりつつあります。

全国大会に出場する強豪校のほとんどは、能力の高いピッチャーを複数ベンチ入りさせ使い分けています。
昔は1回戦から決勝まで一人で投げきったり、延長再試合も完投させることがありました。

ですが現在は選手のコンディションを考えながら、試合によって先発を使い分け完投させないケースも増加中です。
こうして高校野球でも分業制が進めば、海外ではクレイジーと評される酷使も減るでしょう。

全国大会に出場する選手のほとんどは、高校卒業後も野球を続けるとは限りません。
しかし高校時代の酷使が原因で怪我をしてしまい、進学した大学やプロ野球に入ってから活躍できなくなった選手は多数います。

野球界全体の将来を考えたときにも、分業制を取り入れた流れは歓迎すべきと言えるでしょう。
80年以上の歴史がある日本のプロ野球は、時代とともに変化しています。

先発完投が当たり前だった時代から抑えという役割が登場し、今では先発と抑えを繋ぐリリーフの重要性が増しました。
これからは先発や抑えだけではなく、リリーフからも球史に残る名選手が登場するでしょう。